カウンターの一番端に座っていた私は、途端にすることがなくなって、辺りを見渡す。





来たときはまだちらほらしか居なかったお客の数も、今はテーブル席はほぼ埋まっている状態で、カウンター席も満席状態だった。




この状態じゃ、義彦も忙しくて私の話を聞くなんてムリね。
知らずふっとため息が漏れる。





ーーそんな時だった。





『よければ続きを聞かせてもらえますか』





低く通る声が耳に聞こえてきたのはーー。






突然話しかけられて、え?と声のするほうを見ると。




隣に座る黒いスーツを身に纏った男性と目が合った。




話しかけてきたのは、この人?