「付き合った当初にね、聞いたことがあるの。“私のどこが好き?”って」





『女ってそういうの聞くの好きだよな。相手はなんて答えたの?』





「強いところって言ってたわ」





『ぶはっ!』




笑う義彦。



「腕力とかじゃないからね」



『わかってるよ。気が強いってことだろ』



まだ笑いながらそう言ってくる。


どうせ私にピッタリな言葉って思ってるんでしょう?



「ちゃんと続きがあるのよ!」





『じゃあ勿体ぶらずにさっさと言えよ』





弟のクセに人のこと名前で呼び捨てだし偉そうだしナマイキね。




でも聞いて欲しかった私はその言葉を飲み込んで、話を続けようとした。




と、そこに義彦を呼ぶ他のお客の声が聞こえる。
義彦は私にごめんというとそのお客の方へ行ってしまった。