据え膳食わぬは男の恥。バカげたモットーを持つ弟の義彦。


このカクテルで自らそういう状態を作って女の子をお持ち帰りしてそうで末恐ろしい。




「お願いだから犯罪まがいなことはしないでね」




カクテルを飲みながらたしなめると義彦はとても心外そうな顔で私を見てきた。



『言っておくけどこんな恐ろしいカクテルを飲ませるのは由梨だけだからな。普通の女の子にこんなの飲ませるか!』




「え?そうなの?」




『当たり前だ!そこまでしなくてもそこそこモテるし』




「それが信じられないわ。こんな軽い男のどこがいいのかしら。落ち着いててもっと優しくて頼りがいのある人が私は好…」




言ってる途中で別れた恋人を思いだし思わず口ごもった。





『ーーどした?』





「彼のこと思い出しちゃった」





昨日まで私の恋人だった人。彼は落ち着いていて、優しい人だった。