明日は雨かしら。湿気を含んだ蒸し暑い空気が体にまとわりついて不快に感じる。




フゥっとため息をついてお店での自分を回想してみた。




気持ちを全て話せるほど酔えなかった私が2時間で関口くんたちに言えたのは、6年付き合ってた恋人と昨日別れた、ということだけ。





どうして別れたのか、私の今の気持ちとか。
少しも話すこともなく店を出てきてしまった。




でも仮に。




ずっと飲み続けてたら、それらを話すことができたかと言えば、きっと答えは“NO”だ。




同期といえど全て言えるほど気心が知れてるというわけでもない。




あの二人に昨日の今日じゃ思ってる気持ちを洗いざらいさらけ出すなんてできない。




無意識に遠慮してる自分に飲んでる途中で気づく始末だった。




話をじゃあ誰にならできる?




自問自答して、すぐに出てきた答えに、1人頷く。




そしてちょうどよく走ってたタクシーを見つけ、手を挙げて停めて運転手に消化しきれない胸の内をさらけ出せる場所の名を告げた。