「…中谷健二です。」 雄大くんの自己紹介が始まり、一気に妄想の世界から飛び起きるあたし。 彼の言葉を一言でも逃がさまいと、あたしは身を乗り出した。 …それにしても。 雄大くんって、現実では“健二”っていう名前なんだ。 ちゃんと頭にインプットしなくちゃ。 「えっと、今日は遅刻してごめん。」 申し訳なさそうに頭を下げる健二くんの言葉で、さっきまで忘れていたことを思い出す。