――俺は、知っている。


先輩は、あの日以来ずっと、中庭に来ていた。


結愛が、いなくても。
毎日、欠かさず。


あんな中庭、カップル以外ほとんどいないのに。


しかも、先輩はただえさえ目立つし、浮くに決まってんのに。



…きっと、結愛を待っていたんだろうな。



『……。』



視線を空にあげたまま、ちょっぴりほろ苦い気持ちを飲み込む。


半分は後悔してるけど、半分はこれでよかったと思ってる。


…曖昧な気持ちで付き合っても、きっと長くは続かないし。