照れくさそうに、髪を掻く豊。 それはまるで、付き合ったばかりの、あどけないカップルのように。 不思議とあたしのなかの“悲しい”という感情は、消えていくのを感じた。 豊が、スゥっと大きく息を吸う。 「…俺、先輩の隣にいる結愛が、一番好きだから。」 キラキラと、世界が音を立てて回ったような気がした。 目を見開いた先にあるのは、豊の照れたような笑顔。 「先輩の隣にいる結愛は、一番いい表情している。」