『不器用なとことか、照れ屋なとことか。 …お弁当を残さず食べてくれるとことか。』 「…結愛。」 果歩のあやすような優しい声が、耳元で響く。 そんな声は右から左へすり抜けていくように、あたしの耳から抜けていった。 『…言葉数は少ないけど、ちゃんと目を見て話を聞いてくれるとことか……っ。』 あたしの目から、一筋の涙が零れ落ちる。 それが何かを崩れさせたのか、あたしの目からは次から次へと雫が流れ落ちた。