訳のわからないあたしは、先輩を見上げるように見つめる。


先輩はこちらに視線を向けた後、ゆっくりと遠くの方へと視線を移動させた。



「…俺だって、わかんねぇよ。」

『……。』

「結愛は、“雄大くん”と“俺”。

どっちが好きなの??」



風が、隣を吹き抜ける。


それは先輩が歩き出し、遠くへ行く合図だった。


だんだんと遠くなる背中がいなくなり、あたしの隣は空っぽ。



『……っ。』



また、胸が熱くなる。


切なさが押し溢れるように、涙がまた、溢れ出てきた。