腰に回された、力強い腕。

頭に降りかかる、熱い吐息。

背中越しに感じる冷たさと、雨に打たれる感触。



――傘を放り投げた豊くんに、あたしは抱きしめられていた。



「…結愛は、悪くないよ。」

『……。』

「結愛は何も悪くない。」



徐々に力強くなる腕と、徐々に濡れていく髪。


涙と雨が、したたり落ちる。


この独創的な雰囲気は、あたしの全てを飲み込んでしまいそうだった。