ヒック、ヒックと、柄にもなくブランコに乗りながら、声をあげて泣く。



いつの間にか降っていた雨。


それなのに、あたしが1ミリも濡れない理由を、あたしはちゃんと知っている。



自分はびしょ濡れなくせに、ずっと傘をさしてくれた“彼”がいたから。



――豊くんが、見守ってくれていたから。



『…豊くん、もういいよ。』

「……。」

『豊くん、風邪ひいちゃうよ…。』



周りから見たら、なんとも不思議だろう。


びしょ濡れの少年が、泣いている女の子に傘を差しているなんて。


ドラマにでも、ありそうな感じ。