そう思って口を開こうとした。


その時だった。



『豊くん、ごめん。

あたしできな、……っ!!』



『できない』、そう言った次の瞬間、あたしは言葉を失っていて。


あたしの視線は、豊くんの背中を通り越したその先に、釘付けになっていた。



『…な、んで…。』



あたしのか細い声に気づいたのか、あたしの視線の先にいた人物も、こちらに視線を向ける。


そして、驚いたように目を見開いた。




――あたしのデートは断ったのに。


なんで、先輩がここにいるの??



…しかも。

女の人を連れて…。