「…あたしは、どちらを選んでもアンタの味方だよ。」



どちら、というのは“先輩”と“豊くん”のこと。


あたしは手のひらをギュッと握る。



『…ん。』



らしくない果歩の優しさは、あたしには照れくさくって。


思わず曖昧な態度をとってしまった。



「…じゃあ、2人の元に戻ろっか。」




果歩がシミジミとした空気を取り払うように、無駄に大きな声をあげる。


その笑顔は作られたものなのかは微妙だけど、それが果歩の気配りなんだということはわかった。