いつのまにか捕らえられたあたしの瞳も、彼だけを捕らえていた。 …胸が、ぎゅっとなる。 豊くんに見つめられて、一瞬頬が熱くなったのは気のせいだ。 「…佐々木の名前。 ずっと前から、知っていたよ。」 『……。』 今までに感じたことない空気があたしに触れ、2人の間には風が吹き抜ける。 よくわからないもどかしさが、これから起きる何かを予感しているようだった。