「蒼吾先生バイバイ!」


「おぅ!気をつけてな!」


補習が終わり、家へと急ぐ。



今日は、12月23日。


午後はちぃと明日のパーティの買い出しに行く。



ふと、誘った日の先生との会話が頭をよぎる――。


私はかき消すように頭を振り、鏡の前で服を選んだ。


先生が来るなら、新しく買うのにな……


どんなに願っても、先生には彼女がいる。


その事実は消えない。


「想ってるだけでいいなんて…」


ほんとは嘘。


先生が別れちゃえばいいのに、とか最低な事ばかり考えてる。


人間って貪欲だね。


先生に愛されたくても、それは叶わない。


気づいてほしいけど、気づいてほしくない。


そんな矛盾ばかりが私を支配する。


鏡に映る自分がひどく汚く見えた。


待ち合わせ場所に行くと、ちぃはもう来ていた。


「ちぃ!」


名前を呼ぶと、ちぃは携帯から顔を上げ、笑って手を振った。


「琉珈!遅かったね!補習の居残りさせられてたの?」