神様は意地悪だと思う。


いや、この場合は校長を恨むべきか?


よりによって、保健の授業だなんて……


ただでさえ、先生の顔を見たくないのに――。


板書をしていない時には、窓の外を眺めながら先生の顔を見ないようにした。


先生の顔を見ると、どうしてもさっきの出来事が頭をよぎってしまう。


「…で、綾部。聞いてるか?」


名前を呼ばれ、パッと顔を黒板に向けると先生はいなくて――。


「どこを見てやがんだ?俺はここだ。」


くいっと顎を掴まれると、先生の顔がドアップで…!


心臓の音が聞こえるんじゃなかってくらい、鼓動が早くなって。


これでもかってくらい目が泳いで。


やっぱり、先生が好きって思い知らされてしまう。


「き、聞いてません…」


先生は、手を離して満足そうな笑みを浮かべて言った。


「放課後、俺の所まで来い。」


じゃ、授業にもどるぞ、といって授業は再開された。


先生に掴まれた顎が熱くて、私はかきけすように授業に集中した。


授業が終わって、先生の所に行く前、ちぃに引き留められた。


大丈夫、そういって私は走り出した。


途中、振り向いてちぃに叫んだ。


「ちーぃー!私やっぱり、まだ諦めない!」


ちぃは呆れたように笑いながら、私を見送った。