本気で痛がってる先生に私は、舌を出しながら言った。


「ガキじゃないもん!先生の馬鹿!」


私はそのまま走って教室に帰った。


「言いたいことだけ言って逃げやがったな…」


そんな先生の言葉なんか知りもしないで――。


教室に帰ると、親友のちぃこと相坂 千紗(アイサカ チサ)がポテチを食べながら、雑誌を見ていた。


「あ、おかえり~。先生来るって?」


ちぃの問いに私は首を横に振った。


「えぇ~!マジ?」


私はちぃの前に座り、ポテチに手を伸ばした。


「彼女がいるんだと。」


私は忌々しげにポテチをかみ砕いた。


ちぃは、ポテチを持ったまま口をポカンと開け、情けない顔になっている。


「マジなの、それ…」


無理もない。


先生は顔は良いし、遊んでそうだけど彼女なんて全くいそうになかったのだから。


「私が嘘吐くと思う?この私が。」


ちぃは私が先生に抱いている想いを唯一、知ってる人。


私がこんな虚しい嘘を吐くなんてないと、安易に想像できたのだろう。


すぐに、謝ってきた。


「ごめん…。でも、信じらんない…。」


私は、あふれそうになる涙をこらえながら、ポテチを口に含んだ。


ポテチをかみ砕く音はまるで、崩れていく私の心のようにも似た音で、やけに大きく聞こえた。