私は気付かれないように、そろりそろりと近づく――。



そして飛びつくように抱きついた。



「うぉ!あぶねえなぁ」



そう言って、笑って優しく引き剥がした。



原田 侑真(ハラダ ユウマ)は、私の学校の保体の教師。



私がひっそりと想いをよせる人でもある。



面倒見がよくて、整った顔。



女子にも男子にも人気がある。



中には私みたいに本気で恋をしている子も……



勝算が無くても、私は先生をひっそりと想っているだけで幸せだった。



そのまま、先生の横のパイプイスに腰をかける。



ここは私の特等席。



お昼休みの先生の横のパイプイスは私が先生の横顔を独り占めできる唯一の糸。



「先生、クリスマスの予定ってあるんですか?」



何だよ、やぶからぼうに。と言いながら、先生は余裕綽々の笑みで言った。



「そりゃあ、まあ、あるよ。」



「うぇ!?」



私は驚いて、すごい声が出てしまった。