「……蒼吾先生。」


馬鹿みたい。


まだ期待してる自分がいる。


前みたいに、侑真先生がいつもみたいに笑いかけてくれるんじゃないかって。


そうだよね。


あからさまに避けられてる生徒にわざわざ話しかけないか。


「入り口でって、職員室にいないから!」


私は、頬をぶぅっと膨らませて言った。


「ん?おぉ、悪ぃな。」


プリントを渡し、くるりを後ろを向いた私に先生は問いかけた。


「最近、侑真と話してねえんだな。」


先生の話題を聞きたくなくて、無視する形で職員室を出ようしたとき、蒼吾先生の独り言のような問いが聞こえた。


「お前が来なくなって、侑真が気にしてるみてえだし…」


気にしてる?


一度も話にも来なかったのに?


惑わさないで――


まだ、好きでいても良いの?


彼女いるのに?


それとも、生徒に嫌われるのが初めてだから?


そんな問いに答えるものはいない。


「綾部…」


急に腕を掴まれた。


「っ!」