涙でぐちゃぐちゃになった顔を見て、ちぃは私に駆け寄った。


「ちぃ…ッ…先生に彼女がいないっていうの…っ…嘘だよ、あれ…」


「琉珈…?」


「先生っ…キスしてたもん…っ!」


私は、大声で泣いた。


みんなが見てたけど、気にせず泣いた。


あのとき、キスをしていたのは紛れもなく侑真先生と綺麗な彼女さん。



ずっと見てきたんだ。



間違えるはずがない。


「琉珈…ごめん…」


ちぃは今にも泣きそうな顔で私を抱きしめてくれた。


涙がまたあふれた。


「ちぃ…謝らないで…私が悪いの…」


どうして?



あの時、確かに誓った。


何があっても、先生のこと諦めないって。


なのにどうしてもうくじけそうなの?


諦めそうなの?


自分が傷付くのが怖いから、もう諦めるの?


「私…最低だ…」


楽しい雰囲気も壊しちゃったし。


自分のエゴで、色んな人に迷惑かけて――



先生――


今だけ、あなたを忘れさせてください――。