ちぃに近道を教えてもらい、その道を踏みしめるように歩く。


息も白く、心さえも冷たく凍ってしまいそうだった。


緩やかな坂道の先には、飾り付けをした木が一本あって、何組かのカップルがいた。


恋愛に縁がなかった私は、ちょっとうらやましく思ってしまう。


ふと、一組のカップルに目が入った。


見た瞬間、肺が握り潰されてしまったかのように息ができなくなった。


抱き合ってキスをしていた。







愛おしそうに、愛おしそうに――。






これから、一生離れることがないように――。







キスをしているところを見るのは初めてだった。


ううん。違う。


きっと、目が入ったのは――



私は全力で走った。


寒いのも、泣いてるのも、荷物が重いのも。


全部分からなくなるくらい。


がむしゃらに走った。


ちぃの家に着くと、ちぃが玄関を開けてくれた。


「お疲れ~。ありが……琉珈!?」