目の前の男は、まだ若そうで、いかにも遊んでます的なチャラそうなやつ。


「っっ!!ぶつかってきたのはそっちですよ!?普通なら謝るのが常識でしょ!?」


私は思わずぶちぎれた。
あーぁ、最悪…。
でも、もっと最悪なのは、この非常識な男だよっ!!
ぶつかっておいて、その言い方はないでしょーが!!


「あ?お前、名前は?」


急に名前を聞かれて、思わず固まる私。
は?今この人、名前聞いた?
人の話は無視ですか?


「だからー…聞こえなかった?お前のな・ま・え・は?」


かなりわざとらしい言い方。
完全に私を馬鹿にしてるよ…。


「聞こえてましたよ!!園田真凛。真凛ですっ。」


私もわざとらしく言ってやった。


「へぇ〜。真凛か。お前さぁ…この高校に入学すんの?」


……は?
なんであんたにそんなこと言わなきゃいけないわけ!?
てか…あんた誰だよ。

もー…あったまキタ…。


「そうですよ!!この高校に入学するつもりですが何か!?」


「へぇ〜…。そりゃ、楽しみだな。」


………ん?
私、今まずいこと言った…?

チラッと由利のほうを見ると、さすがの由利も気まずそうな顔をしている。


「真凛…それはまずいよ。」


やっぱり。

「じゃーな、真凛。来年の入学、楽しみにしてるぞ。」


いーやーっ!!!!!!
私の高校生活、終わった…。
てか、ちょっと待ってよ。
こんなとこ入らなきゃいいんだよね。
そーだよ!!入らなきゃ…


「真凛…あんた、さっきの人、あんたなんかが絶対にこの高校に入れないって、タカくくって言ってたんだよ?」


「へっ!?そうなの!?」


全然、気付かなかった。
まさか馬鹿にされてたなんて。

そう思ったら、急に悔しくなってきた。私は、大の負けず嫌いなのだ。


「真凛、どうするの??」


由利がニヤニヤしながら聞いてくる。
もう、私の返事は決まってた。


「私…この高校に入るっ!!」

あの男を見返してやるんだ。
絶対に…。

でも…まだ一つ、どうしても気になることがある。

「あの男…誰?」

それが分かるのはもう少し先の事