『……って。』

「何?」

『部屋から出てってッ!!!』

そう言って信条君を
部屋から追い出した
あまりに大きい声を
出したものだから、
ママが心配になって
見にきた。

私は勢いよくドアを
閉めた

「すいません。俺帰ります」

『いえ、わざわざありがとうね。」

玄関のドアがバタン
っと閉まる音が聞こ
えた

『…っく…ひっく。…ぅう…』

コンコン

『大丈夫?』

『…大丈夫だよ。』

『そう…なんか必要な物があったら言ってね。』

『ありがとう…。』

ママにはこれ以上心
配かけたくないから
泣いていたのを気づ
かれないようにした



蓮汰との最後のキス
忘れたくなかったの
に…酷いよ…。

蓮汰…蓮汰の事を
考えれば考えるほど
辛いの…。どうすれ
ばいいの?

誰か私に教えてください――――…

今は何を考えても、
マイナスに考えてし
まう…。


それから私は学校に
行かなくなった…。
学校に行ったって、
どうせ可哀想がられ
るだけ。

人が怖くなった。
信じられるのは、悠里だけ…悠里はいつも私を笑わそうとしてくれる

気を使ってる事くら
い私でも分かるよ…
でも、もう少しだけ
一人で居たい。

外に出ると蓮汰との
思い出ばかりだから…

それから何ヶ月くらいたったかな?凄く凄く
長く感じる。

ピンポーン

悠里だ。

毎日こうして悠里が
来てくれる。悠里と
話してる時だけが、
蓮汰の事を考えなく
てすむ…

月日が流れたら人は
人を忘れられる?
そんなのウソ…。

月日が経つにつれて
思い出ばかり思いだ
してどんどん好きの
気持ちが増すだけよ…


コンコンッ

「入るよ。」

『うん』

いつもその日あった
事を話してくれる

『今日はどんな事があったの?』

「ねぇ…刹那、みんな刹那が来るの待ってるよ。」

『……。』

いつもなら笑って
話してるはずなのに

「いつまで、こうしてるつもり?」

ヤメテ…

「辛いのは分かるよ。」

ヤメテ…

「でも、今の刹那を見て蓮汰が悲しむよ…。」

『やめてっ!!』

『悠里には分かんないから言えるんだよ!!』

「…分かるよ。刹那にとったら愛していた人で私達にとったら友達なんだよ?……蓮汰が居なくなって悲しんでるのは、刹那だけじゃないのよ!!」

何も言えなかった…
だって本当の事だっ
たから…。

私…バカだ。
辛いのは自分だけ…
そう思ってた…。

蓮汰の友達だって、
家族だって誰もが
悲しんでいたのに…


「明日は卒業式だよ。…一緒に行こ?」

『…考えさせて』

「分かった」

お邪魔しました。と
言って家から出てい
った。

悠里が私の事を考え
て言ってくれてるな
んてそんな事分かっ
てる。

でも、やっぱり抵抗
があって…。

蓮汰だったらどうし
てたのかな…?

★‐‐‐‐‐‐‐‐★

チュンチュン

『刹那ー!ちゃんと起きてる?』

『起きてるよー♪』

久しぶりに制服に腕
を通す

これが私の答え。

昨日ずっと考えてた…悲しいのは自分だけ
じゃないし、みんな
どんどん自分の道に
進んでいる…。

それは蓮汰を決して
忘れた訳じゃない…

蓮汰の死をちゃんと
受け止めたから…。

私もちゃんと受け止
めた…だからこれか
ら私は前に進んでい
く。

『おはよう★彡』

教室を開けてそう言
うとみんなが一斉に
こっちを向いた。
予想はしてたけど、
ちょっと入りにくいな…