「で、でも…あの人を見てる九条君、楽しそうな感じに見えたよ?」
「楽しい…っていうより、笑顔もひきつってたんだよな。あの勢いとテンションには、ついていけない。」
えっ…!?
それじゃあ、私が楽しそうにしてる…って、勝手に思ってただけ…だったんだ…。
そ、そっか…。
次第に自分の中に抱えていたモヤモヤが薄れていくのを感じた。
「あ!それと、俺の用事だけど…デートじゃねぇからな?あの二人には協力してもらってただけなんだ…。」
「協力…?」
私が首を傾げると、九条君は体をゆっくり離す。
「俺の用事は、これだから。」
そして、カバンの中から取り出したものを私の前に差し出した。