「そんなわけねぇじゃん。ちゃんと兄貴も居たよ。」

「えっ?でも、どこに?」

「まだ店の中にいたんだよ。兄貴の彼女が大量に服を買ってたから、会計が長引いてたんだ…。」


その時のことを思い出しながら、九条君は苦笑いを浮かべた。


「俺、前の店で買った荷物を持たされていて疲れてたから、どっかで休憩しようと思って先に店を出たけど、追い掛けてきた兄貴の彼女に捕まって、もう一軒行く羽目になったんだよ…。あれは、さすがに参ったな…。」


そ、そうだったんだ…。


そういえば、“いくら何でも買いすぎだろ?”って九条君が呆れ気味に言ってる声が聞こえたっけ…。


冗談まじりで言ってたんだとばかり思ってたけど、本当に呆れてたのかも…。