「やっ…やだ…!離して!」


九条君の胸を押し返そうとしたけど、ギュッと強く抱きしめられた。


「離さねぇ…。紗智に誤解されたままなんて、絶対に嫌だから。」


「ご、誤解って何よ…。とにかく離してってば!」


大きな声で返すと、九条君の唇が耳たぶに微かに触れるのを感じた。




「紗智…、俺の話を聞いて欲しい…。」


低く囁きかける声に、心がドクン…と波打つ。


唇をキュッと噛みしめていると、九条君の吐息まじりの声が聞こえてきた。