早く帰りたいけど、こうなったからには…今日聞いてしまおう…。


遅かれ早かれ…
九条君から聞こうと思ってたことなんだし…。


私は深呼吸をした後、視線を九条君の瞳に合わせた。



「私、昨日…駅前で九条君と女の人がお店から出て来るところを見たの…。二人で並んで歩いていて、とても楽しそうだった…。」


九条君は、私の言葉に驚いているみたいだ。


無理もないよね…。
まさか、私が目撃してたなんて思ってもみなかったはずだもん…。


「紗智、あれは……」


「用事って、あの人とのデートか何かだったんでしょ?今までの私に対する言葉の数々、あれは…全部嘘なんだよね?ちゃんと他に好きな人がいるのに…、私の反応が面白くて、からかってただけなんでしょ?」


感情が溢れて、思わず声を荒げてしまった。


こんな風に聞くつもりじゃなかったのに…。