まさか、たまたまやって来てしまった駅前の通りで見れるとは思ってなかっただけに、かなりビックリしてしまった。


九条君はチラッとこちらの方にも視線を向けたけれど、行き交う人が少し多いせいか、私には気付かないようだ。


駅前の方に用事があったのかな…?


一人…みたいだし、もう用事も済んだってことだよね…?


大きめの紙袋を両手に提げてるけど、何か買い物してたのかな…?


あれこれと頭の中で疑問を浮かべているうちに、九条君は私がいる方とは反対の方へと歩き始めていた。


ど、どうしよう…。
声…掛けようかな…。


少しずつ離れていく九条君を見ながら、追いかけ始めた時だった。





「ちょっと!先に行かないでよ、綺斗君…!」