「行かせねぇよ?」 「えっ?」 呟くような低くて小さな声に眉をしかめると、九条君は、いつになく真剣な表情を浮かべた。 「紗智を図書室に……、朔矢のところになんか…、行かせないから。」 ドキッ… 低くて芯のある声で放たれた言葉に、なぜか心臓が跳ねる。 九条君は手首をギュッと強く握ると、そのまま私の手を引いて図書室とは逆の方へと歩き始めた。