「そんなにムクれるなよ。ほら、眼鏡返すから。」 九条君は言葉を弾ませながら、私の手のひらに眼鏡を静かにのせた。 すぐに席をたって九条君に背を向けた私は、眼鏡を急いで掛けなおす。 くっきりと綺麗に映る視界にホッとした。 九条君、油断も隙もあったもんじゃない! 兄弟の話をしていたかと思えば、いきなり眼鏡を外されちゃうなんて…。 今後はもっと警戒しないと…。