「いじわる」
またブスっと頬を膨らます。
やっぱり、壮吾が遠いなぁ。
同じ町にいるってわかってるのに。
それなのに、この校舎に壮吾がいないだけで、遠く感じる。
会いたいなぁ、って思う。
だけど、思うだけ。
会いには行けない。
「レオー。次、移動教室。 早く行こうぜ」
「おー」
友達に呼ばれて、レオくんがだるそうに返事した。
「あんたも早く行かないと、次、ゴリオの授業だぞ。あんた、この前も説教されてただろ」
「げっ……。そうだった。 忘れてた」
私が顔をしかめると、レオくんがプッとふき出した。
「あんだけ激しく説教されてて、もう忘れたのかよ。あんた、サル以下のバカは全然かわってねーんだな」
「あー!!またサル以下って言ったー!!忘れてたのにー」
「ほら、やっぱサル以下じゃん」
「おーい、レオ。早くしろよー」
レオくんとキーキーキャーキャー言い合っていると、教室の入り口で友達が催促した。
『はいはい』と返事をして席を立ったレオくん。
友達の方へ足を進めるレオくんの背中を見送る。
2年生に上がり、レオくんには友達が出来た。
驚く一歩に、誰もが目を丸めた。