「バカだって言われるけど、それでいいんです。どうしても隠し事とかしなくないし、バレなきゃいいって問題じゃなく、裏切っている自分が許せない。自分にも相手にも正直でいたいからこういうことはこれっきりってことでお願いします」
俺も自分でバカだって思う。
何を真剣に怒ってんだぁ?って思うけど、はっきりと言うべきことは言わなければいけない気がした。
「すげーな。新垣先生。今までそんな男、見たことねぇよ。そこが、生徒からの人気の秘密なのかな?」
山畑先生のいいところは、俺がバカみたいに真剣に怒っても、こうして普通に接してくれるところ。
「山畑先生こそ、もう人気者じゃないですか」
「いやいや、生徒に聞くと、みんなが新垣先生の名前を挙げてるよ」
トイレに来た女性が俺と山畑先生を見て、早く戻ってきてねと言った。
「じゃあ、この後のキャバクラ行くけど、行かない・・・・・・よな?」
「そうですね。待ってる妻を思うと何も楽しめないっすから。本当にバカですけど、俺はそういう男なんで、理解してもらえると助かります」
俺がそう言うと、山畑先生は親しげに俺の肩を抱き、席に戻った。