「明日までにもう一回話してみるよ。俺だって愛妻家だからな!女性がいる店に行くのは気が引ける」
喜多先生はそう言って、職員室へ向かった。
その夜、俺は直に言うべきか悩んだ。
明日、店が変更されているかもしれない。
それなら余計な心配をさせるだけだから言わない方がいい。
スナックで飲むなんて全然たいしたことはないんだけど、多分直は心配する。
スナックを知らない直は、きっといろんな妄想をして、不安になっちゃうから。
「山畑先生ってかっこいいの?」
明日が飲み会だと言うと、直はちょうどいいから友達と晩御飯食べるねって言ってくれた。
そういうところもすごく好きだ。
「どうかな。教師っぽくないかもしれない。軽い感じ。直は好みじゃないと思うけどな」
「どうして?」
ニヤっと笑う直。
「だって、直の好みは俺だろぉ?俺とは正反対だもん。直は、俺じゃないとだめだろ?」
「うふふ。もちろんそうだよ」