「直は、直なんだから」
「どういう意味?」
やっぱりこのベッドはふたりがちょうどいい。
手を伸ばしたところに直がいてくれないと不安になる。
「直は直だから、そのままでいいってこと」
俺はちょっとだけ久しぶりの直の髪を撫でる。
「俺も、俺だし」
「うん。先生は先生だよ」
「だから、直も直なんだよ」
うまく言えないけど、何となく伝わった気がした。
直はにっこり笑って、俺の胸に顔を埋めて寝息を立てた。
透明で、繊細で・・・・・・傷つきやすい心を持った直。
社会に出ると、いろんな人がいて、いろんな汚い部分も見えてしまう。