この時の私は、沙織の恋を、自分の恋とは違うと感じていた。
だから、あんな風に“沙織が大野さんのこと素敵だって言ってました”なんて軽く言えたんだと思う。
ゆかりや桃子だったら言えなかった。
恋多き沙織のこと、心のどこかで“本気の恋じゃない”って思っていたのかもしれない。
大野さんがどんな人物なのか、よく知らないのに、沙織の恋を応援していた。
【今日は、たっくんとつけ麺食べに行く】
先生からのメール。
たっくんと一緒って思うと、安心するんだよね。
先生は、私のこの気持ちを知っていて、わざわざたっくんとご飯を食べてくれたのかもしれない。
先生ってそういう人だもん。