―沙織の恋―
沙織の恋愛は、私とは全く違っていた。
惚れやすくて、冷めやすいといつも自分で言っていた。
別れてもすぐに他に好きな人ができるのが、沙織の自慢だった。
「直、ありがとう!!大野先輩と話せた!」
旅館の部屋に荷物を運ぶと、部屋から沙織が飛び出してきた。
「え、いつ?もう話せたの?」
「さっき、荷物運ぶの手伝ってくれたの!直のおかげだよ」
さすが大野さん、手が早い。
旅館の部屋は、沙織と同じだった。
1年目の私達は、夜に反省会もあるため、同期で同じ部屋になっていた。
ちょっと心配だった。
真由美さん大丈夫かなって。
でも、内心ホッとしている自分もいた。
沙織の笑顔を見て、心が休まるような気持ちになった。
「夜、一緒に花火しようねって言われた!!大野先輩、まじかっこいい」
「すごいよ!!良かったぁ!!」