喜多先生は俺と似ていた。
喜多先生も、俺以外の他の先生とはそれほど親しくはない。
一定の距離を保っているからこそうまく行くこともある。
そんな話をしたことがあった。
「来週から新しい先生来るって聞いたか?英語の1年の先生が産休だからって」
「へ~、そうなんですか。また歓迎会とかあるんですかねぇ」
俺も喜多先生も歓迎会とか忘年会とかあまり好きな方ではない。
「俺の知っているヤツなんだけど、軽い男でな。生徒に手を出さないか今から心配だ」
喜多先生は、握りこぶしを自分のひざに向かって突き降ろす。
何年か前から生活指導の集まりで顔を合わせているらしい。
俺よりも少し年上で、喜多先生より少し年下・・・・・・なんだって。
「新垣先生が結婚してから、この高校も穏やかになったからな」
「どういう意味ですか!!」
「独身のイケメン教師がほとんどいない」
そう言えばそうかもしれない。
「俺と新垣先生が1、2を争うイケメンだからな」
喜多先生は冗談っぽくそう言って、生徒を迎える為に校門へと向かった。