-石畳の夜-






カランコロン


カランコロン




心地良い音。






先生の提案で、遠回りして宿まで帰ることにした。



幕末の武士達がこの辺りで過ごしていたんだと聞き、不思議な気持ちになる。




当時のままの石畳や旅館もあるらしい。





「ほら。ここに石碑があるだろ?」




たくさんの石碑があった。


誰かが暗殺された地だったり、誰かが住んでいた地だったり。





「現代に生まれて良かったぁ。私、耐えられないもん。先生が戦争に行っちゃったり、誰かに狙われたり・・・・・・」




「そうだな。俺だって、直を家に残して戦いに行くなんて、考えられない。でも、そんなこと言ってられない時代だったんだよな」




きっと、先生は何かすごいことを成し遂げる人だと思う。




もしも、歴史上の過去に新垣和人がいたとしたら、きっと教科書に載っちゃうくらいの大きなことを成し遂げていたんじゃないかな。



人に好かれるし、決断力もあるし、カリスマ性もある。






「先生はいつの時代に生まれていても、きっと今と同じように人気者だろうな」




「そんなことねぇよ。俺みたいに奥さん一筋な男は、現代だから許されるんだよ。昔だったら、弱い男だったと思うよ」




そんなことを言う先生の腕に絡みつく。