「先生同士の間でもそういう噂って耐えないんだよ。前の学校では俺がターゲットにされていたけどさ。生徒と付き合ってるんじゃないかとか、若い先生とデキてるんじゃないかとかさ」
生徒が流す場合もあれば、同僚の先生達が流す場合もあるんだって先生は寂しい顔をした。
「俺が心を許せるなって思ったのは、喜多先生が初めてかもしれないな。今までは、自分の悩みを同僚の先生の話したりしたことはなかったから」
先生は、誰とでもうまくやっていける性格だから、どの先生とも仲が良いけど、プライベートまで親しくしている先生はいなかった。
「俺が向き合うのは、生徒だからな」
と、先生はまたかっこいいことを言う。
「かっこいいね、先生」
「ば~か」
お風呂上りの濡れた頭を叩かれた。