「沙織ちゃんの気持ち、直ならわかってやれるだろう。それだけで、沙織ちゃんは嬉しいと思うよ」
ありきたりな言葉しか出てこない。
でも、直にしかできないこと、直じゃないとわからないことがきっとある。
少し落ち着いた直。
温かいミルクティーを飲みながら、夜空を見上げた。
星が綺麗だった。
目が潤んでいるせいだろう。
「あの星、今はないかもしれないんだね」
そんなことを言う直。
「そうだな。何千年も前になくなってる星かもしれないな」
11月の夜風は、俺と直の心にいろんなものを運んでくる。
普段言えないようなことが言えそうな気がする。