「見えない所で何やってるかわかんないよね、男って」



沙織がそんなことを言うもんだから、最近落ち着いていた私の“ジェラシー”がムクムクと顔を出す。




「そうなのかな」



「そうだよ。周り見てみなよ。吉田課長も風俗の行き過ぎで借金まみれだし。うちの部の先輩も毎週キャバクラとか行ってるし。あのダンディーな部長まで真由美さんと不倫なんてさ」



私は、まだ本当かどうかわからないでしょ!と沙織の足を蹴った。





「みんな刺激を求めてるんだよ。まぁ、男だけじゃないと思うけど」





私は、違う世界で生きているような感覚に陥った。


私と先生だけ、普通の人とは違う世界で、生きているような。





でも、そう思っているのは今だけなのかな。


先生もいつか、刺激を求めたりするの?





一瞬でもそんなことを考えてしまった自分を責める。





そんなはずはない。


先生は、そんな人じゃない。





「直と先生は大丈夫だよ!!」



不安そうな私の顔を見て、沙織はそう言ってくれた。