「直、あのこと言ってもいい?」
沙織は、横目で私を見ながらそう言った。
私が小さく頷くと、沙織は勢い良く話し始めた。
大野さんが私のことを好きだと告白したこと。
そして、そのことを沙織に内緒にしてほしいと頼んだこと。
私が怒って大野さんに怒鳴ってしまったこと・・・・・・
「大野、最低だね。アイツ・・・・・・」
今まで真由美さんは、何があっても大野さんの味方なような気がしていた。
今回ばかりはそうじゃないみたい。
「直ちゃんのこと気に入ってるってことは知ってたけど、まさか本気で好きだったなんて。人妻に告白するなんて、どうかしてるよ」
「でしょ~!!ひどいですよ。直が悩むのわかってて告白するなんて自己中です」
「かわいそうに。直ちゃん、それで具合悪くなったんじゃないの?」
沙織も真由美さんも、私のことばかり気にしてくれて、本当に泣けてくる。
沙織は、自分も傷ついたのに。
甘いケーキと、ちょっと苦いカプチーノ。
そして、優しい仲間。
私は、鼻の奥がツンと痛くなって、天井を見上げた。