「せんせ・・・・・・」




脱衣所で待っていた先生の胸に抱きついた。



先生はまだ上半身裸だった。



首からかけたタオルで、私の髪をふいてくれた。





「どしたぁ?直。考えすぎちゃったか?ごめんな。俺がいじわるだった」




「ううん。違う。私が・・・・・・間違ってた」





間違ってた。



沙織のこと、本当に大事な友達と思っているのなら・・・・・・


大野さんに言うべきだった。



“そんな軽い気持ちで沙織に近付かないで”って。




これから先もしも沙織と大野さんが付き合っても、私は大野さんの告白を忘れられないし、そのことを沙織に黙っていることに耐えられなくなるかもしれない。





“なかったこと”になんてできるはずなかった。







「先生のおかげで気付いた・・・・・・私が間違ってた」





先生は何も言わずに私の髪や体を優しく拭いてくれた。



最後に、頬に流れる涙を拭いてくれて、優しくキスをしてくれた。