私は怒るべきだった。
どうしてそんなこと言うの?って。
怒るべきだったんじゃないかな。
沙織にも私にも失礼だよ・・・・・・
大野さん、ずるいよ。
「おぉ~い、直!!ゆでだこになるぞ?そろそろ出ておいで」
先生が呼びに来てくれなかったら、私は何時間もお風呂の中にいたかもしれない。
何度も何度もあの日の大野さんの言った言葉を思い出した。
そして、自分の言葉も。
いい子ぶって、ものわかりのいいフリをして・・・・・・
笑って大野さんに笑顔を向けた私だって・・・・・・ずるいよね。
罪悪感を消すためにゆかりに話を聞いてもらって、それで気持ちを軽くして。
なかったことにしようとしていた。