「自分勝手な奴だな。言われた方のことを全く考えてない。それに、沙織ちゃんと直が友達だってこと知ってるんだろ?そんなこと言われて直が苦しむと思わないのか?直は沙織ちゃんの恋を応援してるのに、その相手から告白されるなんて、ありえない」




先生は、顔を赤くして怒っていた。



私に想いを寄せる男の人がいたってことに怒ってるんじゃない。




人間として、男として、大野さんが許せないみたい。





「沙織には内緒にしてって頼まれたの。だから、私は沙織にも誰にも言わずに忘れようって思ったんだ。だから先生にも言えなくて・・・・・・」




「はぁ?何だよ!!それ!!俺、本気でむかついてきた!!」





先生がこんなに怒るなんて珍しい。




立ち上がった先生は、シャワーを出し、乱暴に髪を洗い出した。




気持ちを落ちつけようとしているのか、何度も“あー”とか“もう”って言いながら。






体を洗い終えた先生が、じっと私の目を見た。





「なぁ、直。何度考えてもそれっておかしいよ。大野ってやつ、ずるいと思う。お前も失いたくないし、沙織ちゃんも失いたくない。それで直は怒らなかったのか?」





先生は、先にお風呂から上がった。




ゆっくり考えてから出てきなさいと言って、頭に手を乗せてくれた。