「・・・・・・うん。ごめんなさい」
「ばぁか。別にそれくらいで泣いたり騒いだりしないんだから、隠す必要ないだろ?」
そうだよね。
もう終わったことなんだから余計に話せば良かったんだ。
「大野さんに・・・・・・」
言い辛くて、深呼吸をする。
「やっぱりアイツかぁ。俺の勘は当たるんだよな。要君の時もそうだった。大野も怪しいと思ってたんだよ、俺は」
「私のことを好きだったみたいなんだけど、もうあきらめたって」
眉間にしわを寄せた先生。
「何、それ?あきらめたなら、言う必要ないと思わない?傷つくのが怖くて、あきらめたフリしてるだけで、まだ直のこと好きなんじゃねぇの?」
「言わないと前に進めない気がするって言ってたけど」
よく考えてみるとそうだ。
本当にあきらめたなら、結婚している私にわざわざ言わなくてもいい。