「だから、真剣なんです。私に相談しに来る子は本気で悩んでいたり、友達にも言えなかったりするから。昔は、友達同士でキャーキャー言いながら話す子が多かったんですけどね」
水谷先生は、干してあったタオルを取り込んで、畳み始めた。
「相手が結婚していると気軽に好きだとは言えないってことですね」
結婚してから誰からも告白されていないことに安心していたが・・・・・・
「今もいるんですかね。俺のことで悩んでいる女子が」
「ふふふ。そりゃいるかもしれないですね。でも新垣先生に罪はありませんから」
時計を見ると、もう6時を回っていた。
同時に時計を見た水谷先生が、フーっと息を吐いた。
「もうこんな時間ですね。かわいい奥さんが待ってますよ」
「突然すいません。帰るところだったんですよね。呼び止めてしまって申し訳ない」
「新垣先生とゆっくりお話する機会もなかったので良かったです。あの・・・・・・もし、私に想いを寄せている生徒がいるのなら、背中を押してあげてもらえますか。私も経験ありますが、思い切りぶつからないと前に進めないこともあると思いますので」