「お疲れ様です。さようなら」
爽やかに声をかけられて、俺もさようならと言ってしまった。
通り過ぎてから・・・・・・
立ち止まり、深呼吸。
よし。
今しかない。
薄暗い廊下に、職員室からの光が漏れる。
「あの・・・・・・水谷先生!ちょっとお時間いいですか?」
俺から声をかけることなんてめったにないから、水谷先生は目を丸くして驚いていた。
2人で、ちょっと気まずい空気のまま保健室へと向かった。
「どうかされました?体の具合でも悪いんですか?」
保健室の椅子に座り、辺りを見回した。
保健室はなぜか落ち着く。
最近、ここに来ることもあまりないが。
「あのですね・・・・・・ちょっと生徒からの相談を受けまして。水谷先生は、生徒の心をつかむのがすごくうまいと思うんですけど、その結果・・・・・・生徒から好感を持たれたりって経験あります?」