「そんな顔すんなよ。俺の自己満足の為に伝えただけだから。それでお前が悩んじゃうと俺、悪いことしたなって思ってしまうから。忘れろってのは無理かもしれないけど、これからは、本当の意味でいい職場の仲間になれると思う」
最後のコーヒーを一気に飲んだ大野さんは、爽やかな笑顔でそう言った。
「で、お願いなんだけど・・・・・・沙織ちゃんにはこのこと内緒にしてくれる?もしかしたら将来、俺と沙織ちゃんが付き合う可能性もあるわけだし。もう終わったことだから、内緒にして」
「え・・・・・・でも」
本音を言えば、隠し事はしたくなかった。
でも、それが大野さんの願いなら。
「わかりました。誰にも言わずに忘れます」