「告白されるのが初めてだから、意識しているだけだと思うんです」
自分に言い聞かせるように岡崎先生は言った。
「そうかもしれないな。もう少し様子を見て、自分の気持ちを落ち着かせることかな」
「そうですね。相手も本気かどうかわからないし」
「それは・・・・・・わかってるんじゃない?その生徒が本気だってわかったから、岡崎先生も本気で受け止めようとしているんじゃない?」
本気の目、本気の言葉は伝わると思う。
俺は、直の想いを痛いほど感じていたから。
「新垣先生は、何度も告白されていると思うんですけど、毎回ドキドキしませんか?」
「う~ん。ドキドキすることはないな。どうやって、傷付けずに断ろうかと悩むことはあるけど。あとは、俺を好きになってくれたことを忘れちゃいけないなっていうのは思うけどな」
もう俺も結婚したし、告白されることもないだろう。
オヤジだしな。
「生徒のことを女性として見たことはなかった。だから、女子生徒とも仲良くやってきた。いきなり、告白されて“あ、コイツ女だったんだ”って気付いたっていうか。昨日言われたばかりで、舞い上がってるだけかもしれないんですけどね」
少し落ち着いた表情になった岡崎先生は、コーヒーを飲み終えると、天井に視線を移した。